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住宅ローンの変動金利と固定金利、結局どっちが正解だったのか
2021年11月、埼玉県川越市に新築マンションを購入した。3,680万円、35年ローン。変動金利0.475%で契約した。あれから3年半以上が経過した。金利は上がり始め、日銀の政策変更もあった。「やっぱり固定にしとけばよかった」と思ったかどうか、正直に書く。
当時の選択肢と悩んだポイント
2021年の住宅ローン市場で、変動金利の主要な選択肢はこうだった。
| 金融機関 | 変動金利(当時) | 特徴 |
|---|---|---|
| 住信SBIネット銀行 | 0.41〜0.44% | 全疾病保障付き |
| 楽天銀行 | 0.527% | がん診断一括補償付き |
| auじぶん銀行 | 0.41% | がん・3大疾病50%保障 |
| 三菱UFJ銀行(ネット) | 0.475% | 実店舗サポートあり |
| フラット35(固定) | 1.31%(機構直受け) | 35年全期間固定 |
最終的に三菱UFJ銀行のネット住宅ローン、変動0.475%を選んだ。auじぶん銀行が最安値圏だったが、当時スマホキャリアをauに変えるインセンティブがなかったこと、実際にローンの相談窓口がある三菱UFJに安心感があったことが理由だ。
固定金利の最終候補はフラット35だった。1.31%。3,680万円、35年でシミュレーションすると、月々の返済額は変動0.475%で約89,000円、フラット35の1.31%で約107,000円だった。月2万円弱、年間約22万円の差が出ていた。
変動を選んだ理由の詳細
金融理論的には「過去の金利推移を見ると、変動の方が総支払額が低くなるケースが多い」という話があった。実際、バブル崩壊後の1990年代から2021年まで、日本の政策金利は一貫して低下・低位維持してきた。この事実が変動を選ぶ最大の根拠だった。
しかし、もう一つの理由は繰り上げ返済の余力だった。当時、貯金が約350万円あり、緊急予備費として100万円を残した上でも250万円を手元に持ちながらローンを開始した。もし金利が上昇し始めたら、即座に繰り上げ返済を実行して元本を減らせるという計算があった。
変動金利のリスクで言われるのは「5年ルール」と「125%ルール」だ。5年ルールは、金利が上がっても5年間は毎月の返済額が変わらない(ただし元本への充当が減る)。125%ルールは、6回目の見直し後の返済額がそれ以前の1.25倍を超えない。この2つのルールは一見有利に見えるが、未払い利息が発生するリスクを内包している。これを理解した上で選んだ。
2022年〜2024年、何が起きたか
2022年12月、日銀が長期金利の許容変動幅を拡大した(いわゆる「YCC修正」)。これは事実上の利上げ方向への転換だった。固定金利は即座に反応して上昇し始めた。フラット35の金利は1.31%から2022年末には1.68%まで上がった。
ただし、変動金利に影響する短期政策金利(無担保コール翌日物)は2022年〜2023年はほぼ動かなかった。日銀の利上げが本格化したのは2024年3月のマイナス金利解除から2024年7月の追加利上げ(0.25%)だ。変動金利が実際に動き出したのはここからだった。
僕のローンに具体的に起きたことを書く。
住信SBIやauじぶん銀行は2024年10月の見直しで変動金利を引き上げた。三菱UFJのネット住宅ローンも同タイミングで0.475%から0.625%に引き上げられた。0.15%の上昇。
残債が3,200万円台のタイミングだったので、月々の返済への影響は月約2,500円増だった。年間3万円。当初想定していた「金利上昇リスク」が現実になったが、打撃としては思ったより小さかった。
繰り上げ返済を実際にやってみた
2023年3月に100万円の繰り上げ返済を実行した。三菱UFJ銀行のネットバンキングから手数料無料で即日手続きできた。「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の選択があり、僕は返済期間短縮型を選んだ。
結果、35年→約32年8ヶ月に短縮された。計算上の節約利息は約54万円(当時の金利ベース)。元本100万円の繰り上げでこれだけ効果があるのは、当初期間の方が利息の割合が高いからだ(元利均等返済の構造上、初期は払っているお金の大半が利息)。
2024年10月の金利引き上げ後、もう1回100万円の繰り上げ返済を検討した。ただし、インフレの状況を考えると手元流動性を保つ方が得策と判断し、50万円の繰り上げに留めた。
固定を選んでいたら今どうなっていたか
仮にフラット35の1.31%を選んでいた場合の試算をする。
2021年11月〜2025年3月の約40ヶ月で、変動0.475%と固定1.31%の支払い差額は以下の通りだ。
| 期間・金利 | 月返済額(概算) | 40ヶ月の合計差額 |
|---|---|---|
| 変動0.475%(40ヶ月) | 89,000円 | 基準 |
| 変動0.625%(10ヶ月、金利上昇後) | 91,500円 | +25,000円 |
| 固定1.31%(40ヶ月一貫) | 107,000円 | +720,000円 |
単純計算で、固定を選んでいたら4年弱で約70万円多く払っていた。金利上昇によって変動の追加支払いは約2.5万円(40ヶ月積算)に過ぎない。今のところ、変動を選んだ判断は正解だったと言える。
ただしこれは「今のところ」の話だ。2025年以降、日銀がさらに利上げを続けた場合は状況が変わる。
変動金利のリスクが本当に怖くなるシナリオ
金利が仮に3.0%まで上昇したとしよう。変動0.475%スタートで、現在の残債を約3,100万円とすると、3.0%での月返済額は約118,000円になる。現在の約91,500円から月2.6万円、年間31万円の増加だ。
10年後に3.0%というシナリオは「ありえない」とは言えない。日本のインフレが続き、日銀が段階的に利上げするとそこに到達する可能性はある。ただ日本の国債残高と財政状況を考えると、急激な高金利は政府自体の利払い負担を爆発させるため、構造的に強烈な利上げがしにくい状況でもある。
僕が現実的な防衛策として持っているのは以下の3点だ。
- 緊急予備費150万円を常に維持(金利上昇時の一括繰り上げ用)
- 年間60万円を住宅ローン返済専用口座に積立(インデックス投資と並行)
- 金利が1.0%を超えたら固定金利への借り換えを検討するトリガーを設定
結局、変動と固定どちらが「正解」か
この問いに正解はない、というのが正直なところだ。ただし、「自分にとっての正解」は出せる。
変動が向いている人は、金利上昇時に繰り上げ返済できる貯蓄余力がある人、毎月の返済額に余裕があって差額を投資に回せる人、金利上昇のニュースを追いかけ続けられる人だ。
固定が向いている人は、毎月の返済額を絶対に変えたくない人、金利のニュースを気にするとメンタルに響く人、繰り上げ返済の余力がない人、高リスク許容度で他の投資にキャッシュを使いたい人だ。
2021年の自分の判断を振り返ると、「変動の低金利と繰り上げ返済の組み合わせ」は今のところ機能している。ただ、2030年にもう一度この記事を書いたとき、同じことを言えるかどうかはわからない。住宅ローンは35年という長丁場だ。定期的に見直す仕組みを持ち続けることが、どちらを選んだとしても必要なことだと思っている。
