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賃貸の初期費用を15万円削った方法を全部公開する
2021年の春、2回目の引っ越しで初期費用を15万円削ることができた。最初の引っ越しで33万円以上かかって「なんかおかしい」と感じ、2年間かけて賃貸の仕組みを勉強した成果だ。法律的にグレーなことは一切やっていない。全部、知識と交渉だけでできる正攻法だ。
物件は大阪市内、家賃7万円の1LDK。削った内訳とやり方を順番に説明する。
そもそも初期費用が高い理由を理解する
賃貸の初期費用は「家賃の4〜6ヶ月分」が相場と言われる。家賃7万円なら28万円〜42万円。なぜこんなに高いのか。主な理由は3つある。
一つ目は礼金・敷金の慣行。礼金はもともと大家さんへの謝礼で、法律上の根拠は何もない。敷金は退去時の原状回復費用のための預け金で、これは合理性があるが、礼金は完全に任意だ。
二つ目は仲介手数料の構造。宅地建物取引業法上、仲介手数料は「賃借人と賃貸人を合わせて家賃1ヶ月分+消費税」が上限だ。しかし不動産会社が借主から1ヶ月分取るには「依頼者の承諾」が必要という規定がある。つまり、交渉次第で0.5ヶ月分に抑える余地がある。
三つ目は保険・オプションの抱き合わせ。不動産会社が提示する火災保険、保証会社、鍵交換は、借主が選べないように見せているが、実際には選択肢がある。特に火災保険は自分で加入することが法的に可能だ。
削り1 — 仲介手数料の交渉で3.5万円削減
最初の問い合わせ段階で、メールで「仲介手数料を0.5ヶ月分にしていただくことは可能でしょうか」と聞いた。反応は「担当に確認します」だった。翌日、「今回の物件は大家さんから広告料を受け取っているため0.5ヶ月分でご対応可能です」という回答が来た。
拍子抜けするくらいあっさりだった。家賃7万円の0.5ヶ月分は35,000円。消費税込みで38,500円。通常の1.1ヶ月分77,000円との差額は38,500円だ。一つの質問をメールで送るだけで、ほぼ4万円が浮いた。
ポイントは「対面での交渉よりメールの方がやりやすい」こと。担当者も上司に確認しやすいし、記録に残る。断られることもあるが、断られたとしても何も失わない。
仲介手数料の交渉が通りやすい条件がある。繁忙期(1〜3月)は断られやすく、閑散期(5〜8月)は通りやすい。また、大手ポータルサイト経由より、地域密着型の不動産会社の方が融通が利くことが多い。大手でも通ることはあるが、確率は下がる印象だ。
削り2 — フリーレント交渉で7万円削減
フリーレントとは、入居後一定期間の家賃が無料になる条件のことだ。空室が続いている物件や、入居の決まりにくい時期に有効だ。
内見後、「前向きに検討しているが、フリーレント1ヶ月はつけられますか」と直接聞いた。担当者は「大家さんに確認してみます」と言い、2日後に「1ヶ月フリーレントでOKです」と連絡が来た。
家賃7万円の1ヶ月分、70,000円の削減。これは入居時に払う前払い家賃(翌月分)がそのまま浮く形になる。前家賃が不要になったわけではなく、最初の1ヶ月分が免除されるため、初期費用の総額が実質7万円下がった。
フリーレント交渉が通りやすいのは以下の状況だ。
- 空室期間が2ヶ月以上続いている物件
- 閑散期(5〜8月、10〜11月)
- 入居意思を明確に示した後(「申し込みを前提に検討している」と伝える)
- 礼金ゼロ物件よりも、礼金がある物件の方が代替として提案しやすい
礼金1ヶ月の物件で「礼金をゼロにしてほしい」は通りにくいが、「フリーレント1ヶ月」として提案すると大家側の心理的な抵抗が下がることがある。礼金は返さないお金、フリーレントは一時的な収益先送りという違いがある。
削り3 — 火災保険を自分で加入して2万円削減
不動産会社が最初に提示した火災保険は、2年で19,800円だった。「これに加入してください」と書かれた書類を渡された。しかし火災保険は借主が自分で選ぶ権利がある。
「火災保険は自分で別途加入しますが問題ありませんか」と聞いた。最初は「当社指定の保険への加入をお願いしています」と言われた。しかし「保険の選択は借主の権利のはずですが」と返すと、「では補償内容を確認した上で、同等の補償であれば構いません」という返答になった。
選んだのは共済系の火災保険だ。都道府県民共済や全労済(こくみん共済coop)の「新火災共済」は、2年換算で8,000〜10,000円程度で組めることが多い。補償内容を不動産会社指定の保険と比較した上で提出したところ、問題なく通った。
差額は約10,000円。「たかが1万円」と思うかもしれないが、毎回の引っ越しでこれを続ければ、10年で5万円変わってくる。
なお、不動産会社が指定する火災保険への加入を「賃貸契約の条件」として強制することは、消費者契約法・独占禁止法の観点から問題になりうる行為だ。強引に断られた場合は国民生活センターや宅建業者監督窓口に問い合わせる手段もある。
削り4 — 鍵交換費用の交渉で0.85万円削減
鍵交換費用として16,500円を提示されていた。前回の引っ越しと同じ金額だ。今回は「鍵交換の費用負担は誰が持つべきかを確認させてください」と聞いた。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、鍵交換費用は「防犯性の観点から鍵交換を実施することが望ましい」としながらも、費用負担については「賃貸人(大家)が負担すべき」という見解を示している。前入居者の鍵の管理状況は借主には不明であり、防犯上のリスクは大家側の設備管理問題という理屈だ。
この内容を丁寧に伝えると、「大家さんに確認します」と言い、結果として「大家負担で鍵交換を実施する」という返答をもらえた。費用負担ゼロではなく、大家側が負担する形で交換してもらえたため、借主の初期費用から16,500円が外れた。
ただし、これは大家や不動産会社の姿勢によって結果が異なる。断られることもある。断られた場合の次善策は「せめて費用を折半にできないか」だ。今回は全額なくなったが、半額になるだけでも8,250円の削減になる。
削減額のまとめ
| 削減項目 | 元の金額 | 交渉後 | 削減額 |
|---|---|---|---|
| 仲介手数料(1.1→0.5ヶ月) | 77,000円 | 38,500円 | 38,500円 |
| フリーレント1ヶ月 | 70,000円 | 0円 | 70,000円 |
| 火災保険(自分で加入) | 19,800円 | 9,000円 | 10,800円 |
| 鍵交換(大家負担に) | 16,500円 | 0円 | 16,500円 |
| 合計削減額 | 135,800円 |
13万5千円。ほぼ15万円に近い。これが最初の見積もりから交渉だけで削れた金額だ。
交渉を成功させるための3つの原則
原則1 — 根拠を持って話す
「安くしてほしい」だけでは通らない。「法律上の根拠はこうで、一般的な相場はこうだから、この金額は高いのではないか」という根拠ベースの話し方をする。感情的な値切りではなく、合理的な確認として持ち出す。
原則2 — 申し込み前に動く
申し込み後の交渉は難しい。「申し込む前提で検討している」という立場で交渉するのが最も効果的だ。申し込み後は立場が弱くなる。
原則3 — 複数物件を比較する姿勢を見せる
一つの物件だけに執着していると交渉力が落ちる。「他にも同条件の物件を見ている」という事実を自然な流れで伝えると、不動産会社側もつなぎ止めようという気持ちが働く。これは演技ではなく、実際に複数を見ておくことで本当に余裕が生まれる。
削れなかったもの、交渉しなかったもの
礼金は削ろうとしたが断られた。この物件は礼金1ヶ月の設定で、大家が「礼金ゼロだけは困る」という方針だった。フリーレント1ヶ月で代替したため、実質的には同じになったが、礼金自体の廃止はできなかった。
保証会社費用も削れなかった。連帯保証人を立てれば不要になるケースがあるが、この物件は「保証会社加入必須」が契約条件だった。家賃0.5ヶ月分、35,000円はそのままかかった。
全ての交渉が通るわけではない。それでも、交渉しなければ確実にゼロだ。知識を持った上で礼儀正しく聞くことは、誰でもできる。15万円削れた経験が、その後の引っ越し費用に対する考え方を根本的に変えた。
